2008年6月24日火曜日
野鳥と遊ぶ:ブラック・ダック
●ガッツキ鳥、ブラック・ダック
野鳥と遊ぶ:ブラック・ダック
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お皿に水を満たし、それにパンをちぎって入れておくと、いろいろな鳥がくる。
そのついばむ姿をみるのは、一つの楽しみ。
ずいぶんと長いことそれをやっているが、これまで「ブラックダック」が来たことはない。
というより、この近辺でこの鳥の姿を目撃したことがない。
それが、どういう風の吹き回しか、この夏頃からやって来るようになった。
何かの偶然に、ふらりと飛来してパンを食べたらしい。
それが病みつきになったのか、ときどき来るようになり、その後は食べたあと、そこにじっとうずくまって次のパンが出てくるのを待つようになった。
そのせいか、マグパイとおなじく他の鳥の写真にも割り込んでくるようになってしまった。
別に、我が家の飼い鳥ではないのだが。
●マナーを知らない鳥、ブラック・ダック
1羽のときもあるし、つがいのときもある。
テラスをウロウロするようになり、さらには掃きだしサッシのレンガ台を行ったりきたりで、 「エサくれ、エサくれ」とガラスをそのクチバシで叩くようになった。
「うるせいな、エサぐらい自分でとれよな」
などと思いながらも、内心では「なかなかウイな可愛い鳥だ」とニンマリしながら出ていくと、その後をひょこひと追いてくる。
● サッシをくちばしで叩くブラックダック
皿に水を満たして置くと、すぐにクチバシを突っ込む。
しかし、パンはまだ入っていない。
首を上げて言う。
「早く、いれろよ」
なんという態度。
パンをちぎって入れると、「バシャ」とクチバシを突っ込み、あっというまに飲み込む。
また言う。
「スクねえよ」
「遊幽白書」の一世風靡の名セリフ。
『食欲が先立って、品性が感じられない』、そのまま。
● 「エサくれ」、こんどは私の足をつっつく。
コカツーは指先を咬むが、ダックはコンコンと叩くだけ。
スライスしたサンドイッチパンを2枚たいらげ、3枚目を催促する。
「やらない」。
700g20枚切り、1ドル100円の一番安いホワイトパンで2枚でも10円にしかならないのだが。
十羽くらいくるパロットにだって半枚だ。
20羽でやっと1枚やる。
それをこいつが1羽で2枚とは。
なんて私はこの「品性のない鳥」に甘いのだ。
いや、もしかしら甘いのではなく、ケチなのかもしれない。
そのうち、水カキのついた脚を突っ込んで、皿の中を動きまわる。
「オー、ちょっとマテ、汚ねえ水掻き足を洗うな」
なんということを。
この鳥の足は特に汚い。
せっかくきれいな水を入れてあるのに、一瞬で泥水になる。
皿に足を踏み入れるなどという無作法な鳥はこいつ以外にいない。
「おメエ、マナーをしらないのか」
メダカなら「メダカの学校」がある。
だから泳ぐのにスイースイーと優雅さがにじみ出ている。
どうも、この鳥の社会には「子ガモの学校」はないようである。
同じ鳥でもクッカバラはちゃんと生まれながらに「小笠原流マナー」を身につけている。
この鳥、教養もマナーもない。
●ぶさいくな鳥、ブラックダック
「えらくブサイクな鳥だな」というのが第一印象。
鳥の印象は「優雅」さ「ブサイク」さが判断基準の第一歩。
というのは、クチバシのスキッと鋭いウッドダックを見慣れていますので、カモとはクチバシのとがったものである、という固定観念が作られていました。
たとえば、いつも見慣れている犬の姿を知っていると、まれにチンやブルドックのように鼻のつぶれている犬に出会うと、「まあなんて不細工」と思うことがあるでしょう。
あれと同じです。
スズメなどを見慣れていると、たまにオウムのような上クチバシが下クチバシに回り込んでいるのを見ると「ブサイクー」と感じることがあると思います。
●ブラックダック
正式名は「パシフィック・ブラックダック」。
カモ目カモ科マガモ属に属しており、種は「カルガモ」。
日本名は「まみじろかるがも (眉白軽鴨:マミジロカルガモ)」
そうこれ、驚くことなかれ、「カルガモ」なのです。
いわゆる「ご当地カルガモ」、ということは、
「カルガモはマナーを知らない」
これは新発見。
日本の「カルガモ」をWikipediaで見てみる。
『
Wikipedia カルガモ
─────────────
カルガモ(軽鴨、学名:Anas poecilorhyncha)は鴨の一種。
体長は 60cm 前後であり、日本産のカモ類の中では大きい。
また全身が茶褐色で、黒と茶の鱗状、尾に近づくほど濃い茶色になる。
一見「雌雄同色同柄」であるが、山階鳥類研究所によれば、雄は下尾筒上部(尾羽の下)が黒く、雌では黒い羽毛に白斑が混ざり薄く見えることで判別できる。
水面採食で、食性は植物食。
主に水中の藻などを食べるが、水際に生えたイネ科植物などの実を食べることもある。
ほとんどのカモ類と同様、一夫一妻で毎年つがいを形成する。
イネを食害するので日本では農家から非常に嫌われており、「農業害鳥」として頻繁に駆除される。
本種は雑食性の性質が強く、植物質のエサ以外にタニシなども好んで食べ肉に臭みが出るので日本ではマガモのように賞味される機会は少ない。
ちなみにフランスでは「ジビエ料理」で当たり前のように賞味されているので、マガモより味が極端に落ちるようなことはないはずである。
また、日本では1980年代に東京都千代田区大手町にある「三井物産プラザ池」から「皇居和田倉堀」へ引っ越す本種の親子をマスコミが取り上げ、一大ブームが巻き起こったことがある。
2006年時点においても同社では同池に営巣する本種を観察し、その記録を録るための「カルガモレディ」なる女性を雇用している。
〇 カルガモ:[日本語Wikipedia]より
』
カルガモとは「米食」なのである。
ここにいるカルガモが「パン食」であっても不思議はない。
ちなみに、ウッドダックがパンをついばんでいる姿を見たことがない。
振り向きもしないから、パンは食わないのではなかろうか。
いつもその尖ったクチバシで地面を突っついている。
地表の虫あるいは草の茎などをエサにしているのかもしれない。
一方、ブラックダックは草の先端の垂れたところを平たいクチバシで噛んでいる。
草の実になる部分が食料なのだろう。
マミジロカルガモ (眉白軽鴨)とはよく名づけた、というより苦しまみれに名づけたものである。
そのまま「黒鴨:くろガモ」でもいいのに。
クチバシの鼻の上から首の横まで、ちょうど歌舞伎の弁慶のような「隈取:クマドリ」がある。
その上下が白で、このクマがスッキリ見える。
これが「眉白」の起源だろう。
その下にもう一本、クチバシ脇から薄い黒い線が入っていて、これがさらにクマドリを引き立たせる。
目化粧の隈取を起源で「ブラック・ダック」の名がついたと思うが、あわせると「隈取眉白カルガモ」になる。
最大の特徴は腰のあたりに緑青色の羽(次列風切羽)があることです。
「玉虫」というのをご存知ですか。
羽が緑青色で光の加減でキラキラ輝く虫です。
ちょうど、そんな感じ。
はじめは鳥の羽だと思えず、何かが羽に反射して光っているのだと思いました。
● 緑色になっているひし形の部分です。
普通は写真のように緑だが、光の具合だろうか、たまにだが青に見えたり、紫になったりすることがある。
今日はどんな色に見えるだろうかというのも、出会いの興味になる。
「はて、次列風切羽とはなんぞや」と、おおもいの方もおられるでしょう。
Wikipedia を載せておきます。
『
風切羽(かざきりばね)とは鳥類の翼後方に整列している一連の羽根である。
接続している骨を基準として、翼の先端側から順に初列風切(しょれつかざきり)、次列風切(じれつかざきり)、三列風切(さんれつかざきり)と細分される。
次列風切
──────
尺骨に接続。数は翼の長さによるところが大きく、ハチドリの6本からアホウドリ亜科の一部に見られる32本まで様々である。
● 鳥の各部名称図:[Wikipedia]より
』
いまのところ、このブラック・ダックの次列風切羽の本数はわからない。
分かったら、書き加えましょう。
この鳥、人を恐れないので、目の前で手持ちの小さなデジカメで、いくらでも写真がとれる。
ウッドダックも恐れないが、そばへ寄ろうとすると必ず逃げる。
向こうからはあえて近づくことない。
人間との間に目に見えない境界線を作っているようだ。
その境界線を越えて人が踏み込むと、「逃げる」ということが自動的にプログラムされている。
プラバーもピーウイーもその傾向を持つ。
ブラックダックは最初のうちは警戒しているが、エサを貰えるとなると全くといっていいほど無防備になる。
コカツー、マグパイ、ロリキートなどと同じ。
人なつこいというより、単なる「ガッツキ鳥」。
そのうち、喰いすぎてみっともなくも「鳥ボリック・シンドローム」になり、飛べなくなるのでは。
エサ場では絶対の権力を握り、その気になるといかなる鳥も寄せ付けない。
ロリキートの集団を、いとも簡単にその扁平なクチバシで突っついて追い払ってしまう。
「すごいやつ」
こいつがいるときは他の鳥にパンをやることはできない。
天上天下唯我独尊。
● 次のパンが出るのをジッと待つイヤシイ鳥、ブラックダック。
お世話になっているサイトから。
『
★ オーストラリアのカルガモ[Pacific black duck] 井の頭のできごと 2005年10月
http://homepage2.nifty.com/tnt-lab/nat/inok510/inok510.htm
オーストラリアにもカルガモがいました。
公園の池で、マミジロカルガモの親子に合いました。
なんと、ヒナが17羽もいました。
カルガモのヒナより色が黒いです。
手元のフィールドガイドには、このカモの産卵数は8~10個と書かれていますから、特別なケースのようです。
井の頭池のカルガモの場合、今までの最高記録は15羽だそうですが、それを2羽も上回っています。
マミジロカルガモもカルガモと大きさはほぼ同じです。
この母ガモが17個もの卵をどのように抱いていたのか、ぜひ見たかったです。
』
● 慣れてくれば写真を撮るのに苦労しない鳥。
● いくらでも撮れて、見栄えがする。
ほとんど警戒しませんので、パンをやるとき、ちょっと手を伸ばせば首を掴まえられます。
パンをちぎってお皿にいれようとすると、持っているパンをとろうとする。
ときどき、そのクチバシが手にあたる。
イヤシイ奴。
「コラ」といって、頭を叩こうとするとスーと引っ込める。
グリーン・ロリキートのいやしさには愛嬌がある。
マグパイのいやしさにはスゴミがある。
こいつのいやしさは「ただ、イヤシイだけ」
● イヤシイ鳥、ブラック・ダック
捕まえるに苦労はしない鳥。
太らせて、カモ鍋にはこいつがいいかもしれない。
これは正真正銘の「鴨鍋」になる。
鳩胸ならぬ鴨胸はグイと膨らんでおり、ここに肉がついていそうだ。
バランス的にこの厚い胸はどうだろう、悪いように思える。
何か必要機能としてこういう厚胸になっているのだと思うが。
● でもやはり飽きてくる、もういらない[もっと]。
つぎは、カモ鍋かな。
ダックのビデオは豊富にあります。
まずは下記の「ベビー・ダック 2007」からどうぞ。
そのサイドバーにリストがありますので、自由に選んでお楽しみください。
『
★ Baby Duck 2007
http://jp.youtube.com/watch?v=pQO55HwRenM&feature=related
★ Very Cute!
http://jp.youtube.com/watch?v=fhT7CrdUBZg&feature=related
』
ペリカンがなんとなんとベビー・ダックを丸呑みにするシーンを撮ったビデオがあります。
探してみてください。
これはこれは、一見です。
● 川面のブラック・ダック
最近、ダックが一羽でやってくることがある。
あれ、ツガイは解消したのかなと思いながらパンをやっている。
ところが、あるとき突然、二羽のダックが川から突っ込んできた。
曰く、「俺の餌場を荒らすな」
かわいそうにこの一羽のダックは死に物狂いで逃げていった。
それを二羽のダックがしつこく追っていった。
どうなったのだろうか。
ということはこのはぐれダック、いつ我が家の餌場に眼をつけたのだろうか。
私はてっきり、ツガイの片割れだとばかり思っていたのだが。
「Wikipedia」は下記になります。
日本語モードで「Pacific Black Duck」と入力し、下の記事が検索されたら[このページを訳す]をクリックしてください、日本語訳版になります。Wikipediaの写真はクリックすると「拡大」できます。
『
★ Pacific Black Duck - Wikipedia, the free encyclopedia [このページを訳す]
http://en.wikipedia.org/wiki/Pacific_Black_Duck
』
注].なを、この稿の写真は旧型のものと、新たに購入した5倍光学望遠の2つのコンパクト・デジカメで撮った写真を混在して載せています。
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